学パロ

饐田さんと学パロいいじゃんとなったので書きました。

 

 

痛い。特に脚だ。あまりにも痛くて病院へ行けば急激に背が伸びたせいだと言われた。所謂成長痛と言うやつだ。つまり、耐えるしかない。

高校に入っても身長順に並べば前から数えた方が早かったのにここに来て一気に伸びた。入学した頃からなんとなく関節が軋むように痛むことがあって、もしかして背が伸びるかもと期待してはいた。いたけれど、これは流石に想定外だった。入学して半年で身長は平均よりはやや低いかというくらいまで伸びた。期待を込めて大きめに作っていた制服がぴったりになった。ズボンの裾も余裕分がだいぶ伸ばされた。それでもまだ痛い。嬉しいけど流石にそろそろちょっとつらい。

「おー暁人……お前ずいぶん背が伸びたな?」
「KK」

隣接する道場を使っている剣道部の先輩だ。通称KK。名前で呼ぶよりはその通称の方が通りがいい。夏休みの間は成長痛がひどいこともありあまり過度な運動も良くないからと部活も休みがちだったため会うのは久しぶりだ。

「ようやく伸びたんですよ」
「まあ前から伸びてはいたけど一気に来たな」
「おかげで身体中痛くてもう」

脚だけじゃなく腕なんかも痛い。肘の関節を摩りながら嬉しいけどつらいと言えばそうかよと笑われた。

「俺は順当に伸びたからそんなに痛てえってことはなかったからな」
「それはうらやましいです」
「ま、伸びてほしかったんだろ?良かったな希望が叶って」

先輩よりはまだ低いんだよなと顔を見上げれば頭を撫でられた。

「もしかしたら先輩より大きくなるかも!なーんて」
「暁人、お前、俺よりでかくなんなよ」
「えー」
「頭撫でてやりづれーだろ」
「へ?」

にやにやと機嫌良さそうに髪を漉きながらあーなんかこの人は変わらないんだなと嬉しくなる。

この学校は男子校である。つまり当然だが女子は一人もいない。そうするとどうなるか。ちまっとした男子が妙に可愛がられるのである。可愛がられるといっても変な意味ではなく小動物扱いと言うかぬいぐるみやマスコットみたいな感じでなんやかんやと気を遣われたりする。言ってしまえば結構ちやほやされるのでそう扱われる側からしてもそれほど悪くもない。ウィンウィンである。
ぬいぐるみよろしく膝にのせられたり身長差故に後ろから抱きつくように頭に顎をのせて覗き込まれたりとか普通に考えて距離感どうなってるのかとは思うがまあ一時のお遊びみたいなものなので誰も気にしない。
とはいえ男子高校生なのでいくらちまっとしていてもあっという間に成長してしまう。と言うのもあって新入生は可愛がられる。暁人もその一人だったというわけだ。
背が伸びればマスコット扱いはそれに伴って減り、対等に肩を組めるようになる。物理的に。 それはそれで嬉しいことだ。

先輩からすれば後輩の身長が多少伸びたからといって態度を変える必要もないんだろう。まだ彼より身長が低いこともあるかもしれないが。

「頭撫でてくれるんですか」
「なんだ嫌かよ」
「嫌じゃないですけど」
「ん?」

なんか撫でられることが減ったせいか先輩に撫でられて妙に嬉しいと思っているなんてだいぶこの環境に毒されている気がして暁人は口をつぐんだ。

 

 

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先輩は勿論狙ってやってるのでそれはそうって感じ。ちゃんとマッサージとかしてんのかって際どいとことか触ってくるんだきっと。
2022年11月25日